ギャン太郎、社会人になる

サラリーマンギャン太郎

「気がつけば社会人だった」

思い返せば何て夢みたいな学生生活だっただろう・・・
酸いも甘いも多くの事を経験してきた。
苦しいことも沢山あったが楽しすぎて1年間の延長生活に入るほどだった。

オレの学生生活は一言で表せば「ギャンブル」そのものだった。
勉学なんてしない、普通のバイトもしない、恋愛だってない。
あるのは借金150万と将来へのどうしようもない不安だけだった。


身につけたスキルは

  1. パチンコ、パチスロの知識、技術
  2. 麻雀荘の裏メンバーとしての経験
  3. 当たらない競馬の予想知識

新卒研修として自分のスキルを振り返るワークがあった。
上の3つしか書けなかった時、


心底震えた。

もはや当たらない競馬の予想知識がスキルかどうかも判断できない状態だった。

流石に提出できないと思い適当な事を書いた。






今思い返しても本当にギャンブルづけの毎日だったのだろう。
ガラケーの写真を見返してもパチスロか何切る問題か馬の写真しかなかった。


そんな中でも卒業が近づくにつれ、就職だけは決めないと死んでしまうという思いだけはあった。
なんせ借金が150万あるのだ。
もうギャンブルだけで返せる金額ではなくなっていた。



ギャン太郎「社会人になってまずは借金を返そう・・・そこから俺の人生は再スタートできるんだ・・・」


その思いだけで、就活サイトを回遊した。
1番上に出てきた求人をとりあえず開く。

あなたにおすすめの求人
「インターネットカフェの店長候補」
「給与20万〜48万」
「週休2日」
「残業 月10h程度」
「充実の研修制度あり」
「社員の8割が未経験!先輩社員が丁寧に指導します!」

ギャン太郎「ネカフェの店長か・・・ネカフェって楽そうなイメージだし漫画やアニメもパチンコの打ちすぎで偏ってはいるけど多少分かる。それに行ったことあるけどゲームコーナーにパチンコやパチスロが設置されてる。俺の無意味な知識が多少活かせるかも・・・」

ギャン太郎「給料20万〜48万!こんな大金裏メンの時にくっそ上振れた時にしか貰った事ないぞ・・・・なんなら俺は給料日にお金を払ってた方が多かったから破格の条件だ・・・最初は20万からスタートだろうけどこれが安定的に入ってくるなら借金も思ったより早く返済できるかも・・・」

ギャン太郎「休みも週2日あるのか!しかも残業も少ない気がする・・・やっぱりネカフェって楽な仕事なんだろうな」

ギャン太郎「ほとんどの社員が未経験か!なら俺だってやれるはずだむしろこれは天職なんじゃないか?」




エントリーボタンを押下した。


正直こんな好条件の職に就けると思ってなく期待はしていなかった。




書類選考はすぐ通り面接はつつがなく行われた。
そして選考結果発表日
1通のメールが届いた。


メール「この度は弊社にご応募頂き誠にありがとうございます。厳正な選考の結果採用となりましたのでご連絡を申し上げます。」




まさかの1発ツモだった。

ギャン太郎「ま・・・じ・・か。」
ギャン太郎「ヨォぉぉぉぉぉぉっしゃ!1社目で就活終了とか神引きじゃねぇか!」


今までギャンブルで負け続けたのはここで引きを使うためだったのかとさえ本気で思い、なんなら運命さえ感じていた。

この時卒業まで残り7ヶ月を切った9月の出来事だった。
ちなみに単位はギリギリだったので学校には普通に頑張って通わなければならなかった。
ここでのもう1年上乗せだけは回避しなければならない。
ここだけは人生で一番頑張って学校に通ったと思う。
その甲斐あって無事に卒業はできた。






しかし何故か、借金は「200万」になっていた。


そして迎えた3月

ギャン太郎「ついに卒業か・・・借金はなぜか200万まで増えてしまったけどこれからは毎月20万円以上貰えるんだ。ギャンブルに費やす時間が減ってしまうのは残念だけどいつまでもこんな調子じゃ一生借金は返せないからな。社会人になったら切り替えて全うに生きるんだ・・・オレの人生これからやで!!」


男ギャン太郎23歳。
決意の社会人1年目が始まる。

この時
口座残金 1,000円以下
借入残高 2,000,000円

未来に一縷の希望をみて、社会人として踏み出した男の地獄が始まる。


次回
「ギャン太郎、出社する」

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